診療/治療実績

大学病院の産科婦人科は、腫瘍部門、生殖医療部門、周産期部門で構成されます。それぞれの分野で、高い専門性を有する担当医師が、責任をもって診療に当たっています。

婦人科腫瘍部門

日本婦人科腫瘍学会専門医修練施設
JGOG(日本婦人科腫瘍研究会)関連施設
として全国レベルの臨床試験に積極的に参加して、最新の化学療法を癌患者さんに提供しています。また、本学高エネルギー医学研究所・第一外科との協力により、新たな婦人科癌の診断法や治療法の開発に取り組んでいます。さらに、種々の手術療法を開発して根治性の高い治療法を提供しています。

A. PET検査を組み入れた子宮癌・子宮肉腫・卵巣癌の診断

本学高エネルギー医学センターは21世紀COE拠点に選ばれました。この施設との共同で診断法の向上を目指しています。

  • ①通常のPET検査(FDG-PET)で、子宮頚癌、子宮内膜癌、卵巣癌の拡がりを確認できること、また再発の早期発見が可能であることを、わが国で初めて確認、報告してきました。
  • ②世界で初めて、婦人科癌の患者さんの女性ホルモン受容体存在をPET検査(FES-PET)で確認することに成功しました。 この検査により、子宮筋腫(良性)と子宮肉腫(悪性)の鑑別、子宮内膜癌のホルモン治療の有効性の確認が非侵襲的に可能となりつつあります。(本院 倫理委員会 承認済)
福井大学高エネルギー医学研究所で合成されたFES 子宮肉腫のパターン
B. 進行子宮癌と卵巣癌の優れた治療成績

子宮頸癌

以前から、進んだ子宮頚癌に対して、まず抗癌剤の全身投与で癌を縮小させた後に、癌全体を取り除く手術を、治療に取り入れています。さらに種々の手術療法を開発して、患者さんに対して副作用の少なく根治性の高い治療法を提供しています。

  • ①血管シーリングシステム・ソフト凝固法を導入して、デリケートな部位である膀胱子宮靭帯・基靭帯などを処置し、広汎・準広汎子宮全摘術時の、手術時間の短縮・出血量の減少を試みています。
  • ②排尿障害の合併症を防ぐため、自律神経温存広汎子宮全摘術の導入。

 以下の手術法は倫理委員会の承認を得ています。

  • ③リンパ浮腫の合併症を防ぐためセンチネルリンパ節生検手術
  • ④子宮頚癌の妊孕性温存術式としての広汎子宮頚部切除術

卵巣癌

進んだ卵巣癌に対して、一般的な治療に加え、手術と温熱化学療法の組み合わせた治療を取り入れています。 まず、お腹の中の癌とリンパ節を出来るだけ取り除きます。少量の癌が残る場合には抗がん剤を加温して腹腔内に投与します。当科では、従来の手術や抗癌剤を組み合わせる治療に加え、温熱化学療法を取り入れることができた患者さんは、III期の生存率は50%に上昇しました。

C. 細胞診断向上を目指した試み

当科ではいち早く液状細胞診を子宮体がんの診断率向上に取り入れています。

性器脱部門

高齢化社会の到来とともに子宮脱や膀胱瘤などの性器脱の患者さんが増えています。子宮脱とは、腟から子宮出てくるもの、膀胱瘤とは腟から膀胱が出てくる異常で、時に尿失禁などの症状も加わり、患者さんの日常生活を制限することがあります。主な治療法は手術療法ですが、その方法は2つあります。1つは膣式子宮全摘術と膣壁形成術を組み合わせたConventional MethotdとMeshを用いたTension-free Vaginal mesh手術です。当科では、どちらの治療法がより患者さんに適しているかを泌尿器科と共に行い、術式を決定しています。患者さん一人一人の症状に合わせたオーダーメードの治療を行い、より多くの方の日常生活の改善に役立っています。

生殖医療(不妊・不育症)部門

先代の富永敏朗名誉教授が「子宮内への受精卵の着床」、小辻文和前教授が「卵巣での卵胞の発育と排卵」について、我が国の第一人者であったことから、当教室は、地方にありながらも常に日本の生殖医療領域をリードしてきました。不妊症に対しては、可能な限り“自然に近い妊娠”をモットーとしていますが、重症例が多く集まることから顕微授精など最先端の技術を必要とする方も大勢いらっしゃいます。
一方、せっかく妊娠したものの流産を繰り返す不育症に対しては、子宮の血流を改善する治療法を開発しました。この治療により、多くの元気な赤ちゃんが産まれています。また、不妊症や不育症患者の妊娠・出産には、母児ともにトラブルのリスクが高いことから、後述の周産期部門と緊密な連携のもとに診療を行っています。

中高年総合外来

中高年期の人生をいきいきと過ごしていただくための外来です。中高年の女性では、ホルモン低下や身体機能の衰えと共に、ほてり・動悸・めまい、頭痛・腰痛・手足の冷えなど様々な症状や、骨粗しょう症、高脂血症が問題となります。この外来では、産婦人科・内科のドクターが協力して、これらに悩む女性達を支援しています。婦人科医は、ホルモン補充療法と漢方療法を二つの柱とする治療を担当することです。中高年総合外来は、毎週火曜日・午前中(内科医師は第3火曜:事前問い合わせ要)に、産婦人科外来で開かれています。

周産期部門

  • ① 福井大学医学部総合周産期センターは、日本周産期・新生児医学会が認定する周産期専門医の基幹研修施設です。専門医資格を有する医師が妊婦検診を担当し、胎児異常の早期発見に努めています。生命継承の診療部門として、小児科のNICU部門と連携を密接にしています。診療成績は、全国でもトップクラスです。
  • ② 福井県の周産期医療ネットワークの責任施設として、県内外の医療施設からの患者紹介を受け、高度管理を必要とするハイリスク妊娠の診療を担当しています。また、疾患の急性期を管理し危機を脱した後は、搬送元の病院にお帰りいただくシステム (back transport) の確立にも力を注いでいます。
  • ③ 奥越地域については、福井社会保険病院との連携により、正常妊娠分娩の管理も行っています。住民の皆様に、「利便性」と「高度医療」を同時に提供するユニークな医療連携として、全国紙にもその取り組みが掲載されました。
  • ④妊婦死亡の大きな原因である前置・癒着胎盤に対する安全な手術法(子宮底部横切開法)を開発し、国内外から高い評価を受けています。この手術法の全国への普及指導に務めています。

以上、女性疾患全般に各専門家が、誠心誠意、高い専門的知識を背景にして治療に従事しています。どうぞお気軽にご相談ください。

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