各部門の特徴

婦人科腫瘍部門

子宮肉腫の診断治療法の開発

Radiomics解析を高エネルギー医学センター、子宮肉腫診断バイオマーカーの同定とその測定キットの開発を東洋紡・県立大学水谷教授と共同研究をしている。

成果
放射線画像から、肉眼ではとらえきれない画像特徴量を抽出し解析することで子宮肉腫と子宮筋腫との鑑別を可能とした。
放射線画像
NCBIより公開されているデータベースから子宮肉腫で特異的に高発現する遺伝子とその分泌性タンパク質を同定し、これらを患者血清からわずか5分で測定可能なキットを開発することで子宮肉腫と子宮筋腫との迅速な鑑別を可能とした。
キット開発

卵巣がんの薬剤耐性獲得機序解明

オタワ大学Tsang博士と共同研究を実施している。

成果
抗癌剤抵抗性卵巣癌の病態を「細胞内カルシウム伝達」及び「ミトコンドリア内Drp1遺伝子」の観点から解明した。

PET検査での婦人科腫瘍の診断・治療への臨床応用

高エネルギー研究センターとの共同研究で、FDG-PETとエストロゲンレセプターを検出するPET検査の臨床応用とPET-MRI検査の有効性を研究している。

成果
子宮体癌のホルモン治療において治療効果が高いほど、エストロゲンレセプターを検出するFES-PET検査でのFES集積が低下することを解明した。
研究イメージ

腹腔内温熱化学療法(HIPEC)の有効性

成果
卵巣癌や子宮肉腫に伴う播種病変に対するHIPECの有効性を当院消化器外科と共同し解明した。
研究イメージ
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生殖医療部門

(臨床部門)卵子・胚にストレスの少ない体外受精・顕微授精

体外受精における卵子や受精胚のストレスを減らすために、タイムラプス培養器で胚の発育を連続的に観察しながら、良好な胚を選択しています。また、顕微授精における卵子のストレスを減らすために、微細なパルス振動で卵子を穿刺し精子を注入する、ピエゾ顕微授精システムを使用しています。

研究イメージ
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(臨床部門)妊娠子宮の血流改善による流産予防

せっかく妊娠しても流産を繰り返してしまう不育症に対して、血小板を抑えて血液をサラサラにするアスピリンと、血液凝固因子を抑えて血栓を防ぐヘパリンを併用することで、妊娠初期における子宮局所の血流改善をはかっています。

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(研究部門)卵胞発育における卵巣局所因子の役割

卵巣で卵胞が発育し排卵するためには、脳下垂体からの性腺刺激ホルモン(FSH・LH)と、卵巣局所の様々な因子が、うまく協調して機能する必要があります。私たちは、卵巣局所における卵子~顆粒膜細胞~莢膜細胞のクロストークを解明することで、難治性の排卵障害(poor ovarian response)の克服を目指しています。

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(研究部門)精子・卵子の質とミトコンドリア品質管理

不妊カップルにおける精子や卵子の質低下が叫ばれていますが、その本態はよく分かっていません。私たちは、細胞内のミトコンドリア機能を制御するミトコンドリア品質管理システムに注目しており、精子や卵子におけるこの品質管理システムを解析することで、精子や卵子の質向上につなげたいと考えています。

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(研究部門)顆粒膜細胞の発生・分化メカニズム

エストロゲンを産生する卵巣の顆粒膜細胞は、女性にとって極めて重要な細胞であるにも関わらず、その発生起源や分化メカニズムがよく分かっていません。私たちは、ヒトの卵膜から分離した間葉系幹細胞を分化誘導することで、ヒト顆粒膜細胞の作成を目指しています。

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周産期部門

福井県の周産期死亡、常位胎盤早期剥離の調査研究

福井県と協力し、県の周産期死亡を詳細に解析している。また、県内で発生した常位胎盤早期剥離について母児の予後別に詳細に解析し、予後改善に向けた最善の産科管理を探索している。

不妊治療後の癒着胎盤の発症予測へ向けて、脱落膜分泌因子による絨毛浸潤制御機構の解明を試みている。また、過去の臨床データを用いて、癒着胎盤の予測モデルの構築を試みている。

成果
福井県で2013年から2017年に発生した周産期死亡の特徴として、①胎児発育不全の合併が多いこと、②羊水過多の合併が羊水過少の合併よりも多い(約2倍)ことが分かった。また、常位胎盤早期剥離による死産に限ると、90%が妊娠第3三半期の早産期発症であること、さらに発症から病院受診までの時間の中央値が約4時間であり、症状を自覚しても速やかに病院受診されていないケースが多いことが分かった。この結果を元に、①超音波検査による胎児発育と羊水量異常(羊水過少だけでなく羊水過多も)に特に注意して妊婦健診を行うこと、②常位胎盤早期剥離に関する患者教育の徹底につき、県内の全ての分娩取り扱いへの啓蒙を行った。
研究イメージ
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