研究実績

初期の卵胞発育における卵子~顆粒膜細胞~莢膜細胞のコミュニケーション

妊娠するためには、成熟した卵子と精子が必要です。卵巣の中には、卵子を包んでいる卵胞とよばれる袋がたくさん存在しており、脳からのホルモン(ゴナドトロピン)の指令で毎月1個ずつ排卵します。
 卵胞が発育・成熟するメカニズムは、初期と後期で大きく異なります。卵胞がある程度大きくなってからの発育の後期過程は、ゴナドトロピンが完全に支配しており、(ゴナドトロピンの成分を有する)排卵誘発剤で調節することも可能です。対照的に、初期の卵胞発育は、ゴナドトロピンの影響を受けないため排卵誘発剤にまったく反応しませんし、その発育メカニズムも長い間よくわかっていませんでした。
 私たちのグループは、「卵胞を構成している3つの細胞(すなわち卵子・顆粒膜細胞・莢膜細胞)同士が、お互いにコミュニケーションすることで、初期の卵胞が生存・発育できるようになる」ことを、世界に先駆けて明らかにしてきました。最近では、「3つの細胞のうち、特に卵子が初期の卵胞発育をリードしている」ことも解明しています。

初期の卵胞発育における卵子~顆粒膜細胞~莢膜細胞のコミュニケーション

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で卵胞発育が止まるわけ

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣の中で卵胞の発育が止まってしまう病気で、不妊症の深刻な原因になっています。ちなみに、排卵がうまくいかない(排卵障害)理由の第1位がPCOSです。
 PCOSの本当の原因はまだわかっていませんが、脳からのゴナドトロピンのうち黄体化ホルモン(LH)が、卵巣の莢膜細胞で強く働きすぎるのではないか、と考えられています。私たちのグループが、「LHが強くなり過ぎると、どうして卵胞の発育が停止してしまうのか」調べたところ、「過剰なLHが、もう一つのゴナドトロピンである卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きを弱めてしまう」ことが明らかになりました。
 最近は、PCOSと肥満の関連も注目されています。私たちは、「脂肪で作られる悪玉ホルモンが、卵巣の顆粒膜細胞を直接攻撃し、FSHに反応できなくしてしまう」ことも解明しています。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で卵胞発育が止まるわけ
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