ごあいさつ

福井大学医学部 産科婦人科医局 教授

吉田 好雄

福井大学産科婦人科は、私で三代目の若い教室です。初代富永敏朗教授は、福井県の中心を流れる九頭竜川の広大な河川敷に立つ、まっさらな白紙状態の大学病院に、しっかりとした礎を造られました。多くの医局員が集い、多くの若い産婦人科医が育ちました。二代目小辻教授は、その礎を基にさらに国際的な活動を展開しました。多くの医局員が海外に留学し、伝統ある国際学会で、多くの賞を獲得いたしました。私は福井医科大学の卒業生として、初代・二代目教授の下、教室の歴史とともに歩むことができ今回三代目教授を拝命することができました。

当教室の特徴について

当教室の特徴は、大学医学部の臨床教室に課せられた使命である、1)臨床、2)教育、3)研究、を果たしていくととともに、福井県内唯一の大学病院産婦人科として、福井県の地域の産婦人科医療の維持・発展に主導的な役割を担っていることです。
 創立当時から教室の雰囲気はあまり変わりません。教室の雰囲気を一言で言うと、非常に垣根の低い、機動性のある教室だということです。垣根の低さは教室員だけではなく、他科や他の研究室に及びます。特に格式気張るのではなく、いいものはどんどん取り入れ、さらに改良し、日々の診療や研究に取り入れています。このことが地方の小さな大学ですが、診療成績の向上や、世界に誇れる研究の成果につながっています。
 代表は、周産期医療部門での妊婦死亡の大きな原因である、前置・癒着胎盤に対する安全な手術法の開発につながりました。また、不妊・不育部門で、難治性不妊患者に対する、体外受精や顕微授精、凍結・融解胚移植などの高度生殖医療も積極的に行い、最近の採卵当たりの妊娠率は約20%を超え、流産を繰り返す不育症の患者さんに対して、妊娠初期の子宮血流を良くする抗凝固療法を応用することにより、約85%の患者さんが妊娠継続・出産に成功しています。 さらに婦人科腫瘍部門ではPETを用いた世界最先端の研究や、がん患者の五年生存率の向上につながっています。

教室運営の抱負

今後の教室運営の、特に教育についての抱負を述べようと思います。私は、長年密かに「しっかりやれ」とか「こうあるべきだ」あるいは「べからず」という風な教育のやり方には、私自身、少しストレスを感じていました。こういうなんというか減点方式的なやり方は、時として息苦しさや、下手すると仲間同士の足の引っ張り合いにつながる危険性を孕んでいるような気がしていました。「かくあれ」「いかにあるべきか」ではなく、「いかになるか」というほうが大事だと思うようになりました。先程の例で行きますと、今は、たいしたことはないが、自分個人の立場でもまた他人に対する場合においても、一足飛びに「かくあれ」「いかにあるべきか」と思うのではなく、日々を「いかになるか」と心がけて前向きに、または加点方式に過ごすことが重要なのではないか、と現在は強く思っています。そして、そのことを少しでもわかってもらえるような教育をすることが大事なのではないかと思うようになりました。
 私は、自分の母校である福井大学に誇りを持っています。福井大学の先生方は、びっくりするぐらい「可能性」を持っていると思います。私の今後の仕事は、福井大学の先生方の「可能性」を引き出し、日々を「いかになるか」と心がけて、前向きに皆が思える環境作りをすることだと思っています。

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